佐野新理事長就任のご挨拶

2023年12月29日(金)
 私は今年6月に開催されました庚子造船会理事会で第16代理事長を拝命しました。このような立場は決して望んでいたわけではありませんが、冨田前理事長や関係者の皆さんからの強い要請があり、だれかが担わなくてはならないと観念して非才ながら引き受けることになりました。
 まず、冨田前理事長には長期間にわたり理事長として活躍いただき感謝に堪えません。また、冨田前理事長が強力に推進されてきた120周年記念事業については、コロナ禍で最大のイベントであった記念式典が実施できなかったことが残念でした。コロナ禍の影響もあり理事長の在任期間も11年間という永きにわたったことにあらためて「お疲れさまでした」との言葉を送らせていただきます。
 この伝統ある庚子造船会を継続・発展していく担い手として暫く取組んでいきますので皆様方のご支援をいただきたくお願いする次第です。
 
 さて、そもそも「庚子造船会」って何なのでしょうか。私は、
  • 青春の1時代を共通の土俵で学んだ故郷のようなものであり、
  • 大学で同じ釜の飯を食った上下、同級、同業・異業種の関係で何かと役に立ち、
  • 何かあれば故郷(大学)の世話になれる、
  • 同級生の情報を包括して共有して、
  • 後輩たちの活躍が楽しみに感じる、
団体と思っています。
 ところが現在の本会は、本会への思い入れの強弱がかなりある過渡期ではないかと認識しています。最近の環境変化としては以下が挙げられます。
  1. 20、30歳代の比較的若手会員は、「船」関係以外に就職される方が多くなっています。このため「船」という共通の土俵は少しずつ希薄になってきています。
  2. 「船」関係も、最近の業界流れはこれまで造船所で建造してきた「船」から、「艦艇」に関わる人材に少しずつシフトしてきています。艦艇技術はこれまで大学との連携がやや希薄であったため、艦艇関連会員の本会への思いがやや薄いかも知れません。
  3. また、大学では海洋全般の保全やロボティックスを利用した海洋調査技術なども組み込まれており、就職先も広く海洋関係の会社に多様化してきています。
 以上の環境変化の中、現存会員数は約1,900名で会費納入会員は500~600名(約30%)で推移しています。これはまだ船関係への就職が多かった40・50歳代の現役幹部層や、まさに日本の造船を支えてきた60歳代以上のリタイア層が主な納入者で、船関係以外への就職が増えた20・30歳代は残念ながら極めて少ない状況となっています。
 右の表は120周年記念事業の募金状況で、ほぼ会費納入者が募金にも応じていただいた結果となりましたので、会費納入者の分布とも見なせます。
 このまま推移しますと徐々に会費納入者が減少していき庚子造船会の活動にも影響が出てくるものと予想されます。そこで若手層に加え40、50歳代の現役幹部層、60歳以上のリタイア層が混在する中で、多くの会員に本会に目を向けていただき会費も払っていただいて、その会費に見合う価値や親しみを感じていただけるよう本会を少しずつ見直していきたいと考えています。
 ではどのように見直していくかです。これは、今後理事の皆さんと議論しながら進めていくことにしますが、理事長としての基本的な考えをここで示しておきます。
  1. 本会のこれまでの事業は基本的に引継いでいくものとします。
  2. 多様な業種に広まった会員の動向や大学の新しい研究への取組などを加えて会員相互の情報共有化に資するため、まずはホームページ(HP)、庚子造船会ニュース(ニュース)、会員の情報公開(電子情報化)に力を入れます。
  3. HPおよびニュースのコンテンツを多様化して、様々な会員にヒットしていくことを目指します。
  4. 情報公開(名簿)は、同学年の同窓会など会員同士の交流にも活用していただきたいと考えています。ただし、情報保護と会員の情報更新などの課題に取組む必要があります。
  5. 入会前の学生時代から庚子造船会の存在を認知していただくよう学内でのアナウンスを先生方に徹底していただくようお願いします。また会費の支払い方法も、スマホでの支払いなど今風のやり方で若手会員も支払いやすいようにしたいと考えます。
 具体的には、HP編集委員会、ニュース編集委員会、その他個別案件については理事の方々に役割を分担していただき実行権限を持って実施いただき、必要に応じて理事会で承認するとの前提としたいと思っています。
 いろいろやるべきことはいっぱいありますが、本会はあくまでボランタリーベースですので、無理をせず多くの方に協力をいただきながら、それぞれに役割を決めて息切れせずに徐々に進めていくことが肝心かと思います。
 
(Partial)Scrap and (Slow) Build
【少し目的や仕組みを見直して、ゆっくり改革しよう】

 次に自己紹介を少々。
 私は愛知県出身、大学時代は劣等生で中村彰一先生、斎藤公男先生、内藤林先生に暖かく面倒を見ていただき川崎重工に就職できたことに感謝しています。勉強不足は会社で補いましたが、大学への恩義を感じており、その恩返しの意味も込めて庚子造船会活動にも参画せていただいてきました。
 仕事は潜水艦の開発設計のほか、海中工学分野として例えば、JAMSTEC(現海洋研究開発機構)への出向で潜水船「しんかい6500」や支援母船「よこすか」の開発建造に従事してきました。
 今後、艦艇にややシフトする状況で、少しでもお役に立てればと考えています。

 最後に一言。船を造るということは、尖った要素技術を有するスペシャリストと、船型・コスト・納期などの制約のなかでこれらを最適化するジェネラリストが混在して必要な世界です。私は、船を土俵にスペシャリストとジェネラリストのどちらも輩出できる造船学科(現船舶海洋工学コース)は人材育成の観点からも素晴らしい学科だと思っています。

 相変わらずの拙文で恐縮しておりますが、これを理事長就任のご挨拶とさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。
以上
佐野 正(S49)
post by 東京支部HP担当